蟹退治日記 (神経内分泌がん治療記)

ドイツでの神経内分泌がん治療の日々を通して見たこと聞いたこと考えたことを綴っていきます。

開店休業かと思いきや

注:今回もシモの話です。自己責任でどうぞ。

 

私は回腸ストーマ人工肛門)保有者だが、大腸も肛門も温存・開通している。それでも排便はストーマを通して行われるので、肛門は開店休業状態になるものとばかり思っていた。だが実際にはそんな事は無く、そこからいろんなものが出てくる。

 

  • 粘液

お尻から粘液が出る。大腸はやるべき仕事が無くとも健気に新陳代謝をしており老廃物を出すのだ。そんな事は知らなかったから、手術後お尻から何か出てきた時には腸に問題でも起こったかと心配した。

 

医者に相談すると、「ああ、問題ありませんよ」と言う。出て当然のものらしい。なら、あらかじめ言ってくれ。

 

厄介なのは体調が回復するにつれて粘液が多く出るようになってきたことだ。そして何かの拍子に、ちょろっとお尻から漏れてしまう。ストーマにして以来、肛門の奴は仕事の手を抜いているのだ。実際のところ使わないと括約筋が弱くなるらしい。かつては鉄壁の肛門を誇った私でもこうなると駄目だ。漏れてもいいように妻のパンティライナーを装着するようになった。

 

作家の筒井康隆は切れ痔からの出血を抑えるために肛門にタンポンを入れていた事を面白おかしく書いていた。当時はげらげら笑って読んでいたものだが、今となってはこのエピソードに共感を感じずにはいられない。

 

  • おなら

おならだって出る。それは大気を震わすものでは無く、金魚の吐くあぶくのように頼りないものだが、「元気でやってます」という腸からの便りに違いない。

 

  • ホッチキスの針

こんなものがお尻から出てきて驚かない人はいないだろう。看護婦さんに相談したら、「問題ありませんよ」との事。あらかじめ言ってくれ。心臓に悪い。

 

実は腸を吻合する際に医療用ホッチキスが使われるらしい。その技術が確立したおかげで、直腸癌でも多くの場合で肛門を温存できるようになったのだそうだ。そのホッチキスの針が外れて肛門から出てくることは、ままあるとの事。では残りのホッチキス針はどうなるかというと一生体の中に残ると言う。それはそれでちょっと不気味なのだが。

 

以上。ストーマ予定者の参考になれば幸いなり。