蟹退治日記 (神経内分泌がん治療記)

ドイツでの神経内分泌がん治療の日々を通して見たこと聞いたこと考えたことを綴っていきます。

ストーマ閉鎖手術

  • 入院三日目

手術の日。朝9時に準備室に運び込まれた。去年11月の手術では膀胱カテーテルを抜くときに非常に痛い思いをした。それで今回は看護婦さんに、出来ることならカテーテル抜きでやってくれとお願いしておいた。果たして要求は通るだろうか?

 

それからはまた麻酔のマジックだ。準備室で麻酔を打たれたと思ったら、Wachraumで目を覚ました。Wachraumは「目覚めの部屋」という意味で、術後は目を覚ますまでここに置かれる。手術は2時間程度だったようだ。

 

ストーマ人工肛門)すなわち私の回腸は再びつなぎ合わされ、お腹の中に収められたわけだが、その切りたて・縫いたての手術跡が痛む。看護婦さんに伝えると、痛み止めの点滴を打たれてそのまま眠ってしまった。

 

次に起きたら自分の病室に居た。そして傍には妻がいた。病院側から手術完了の連絡が飛んだのだ。手術の成功を喜び合う。

 

自分の体を点検すると、お腹からチューブが一本出て小瓶につながっている。ドレナージという腹腔内の余分な体液を排出するものだ。幸いにして膀胱カテーテルはついていない。要求が通ったのだ。

 

夕方になりお茶が出た。昨晩から水も飲めなかったので、これは嬉しい。でも、食事は当分なし。点滴での栄養補給も無し。お腹が減る。

 

看護婦さんがやって来て、立てるかと尋ねる。身を起こそうとすると、お腹のえぐられるような痛みで悶絶した。これでは立てない。看護婦さんはドレナージのチューブのせいかもしれませんね、と言う。でも今は抜くわけにはいかないらしい。

 

ベッドの上で手術跡を眺める。ストーマも無事に閉鎖できた。これまで長かったなあ、と考える。でも、まだ全然終わっていない。これからすぐ後遺症に直面することになるだろう。直腸が無いので排便障害が起きる。いずれ落ち着くとM女医は言うが、術後6-9か月は大変だろうから覚悟しておけとも言われた。

 

まあ、それは次の問題。さしあたっての問題はおならだ。これが出なければ何も始まらない。食事も便も退院も、全てはおならの後だ。「おならあれ!」と私は心の中でつぶやいたのだが、それが実現するのはもう少し後である。