蟹退治日記 (神経内分泌がん治療記)

ドイツでの神経内分泌がん治療の日々を通して見たこと聞いたこと考えたことを綴っていきます。

癌の予防(1)

直腸と肝臓の癌は無事切除されたわけだが、これにてお終いハッピーエンドと能天気に構えてもいられない。肝臓に転移したという事は、直腸で成長した癌細胞が体内のあちこちに遠征に出たという事であり、今後の転移・再発の可能性は高いと考えられるからだ。

 

医師の中川恵一氏は『がんの練習帳』の中で、転移した癌を部屋の窓から外に出て行ってしまった鳥になぞらえている。「捕まえるのは極めて難しい」、つまり完治はほぼ不可能だと。

 

だからと言って絶望して泣き暮らすというのもアホな話だ。転移・再発を防ぐためにやれる事はあるだろう。国立がん研究センターが発行している小冊子『科学的根拠に基づくがん予防』には、癌予防のための5項目の健康習慣が提示されている。

 

①禁煙する
男性の場合、喫煙は癌の要因のトップである

②節酒する
一日の飲酒量の目安は日本酒なら一合以下、ビールなら大瓶一本(633ml)以下に
③食生活を見直す
減塩する、果物と野菜を多く食べる、熱い飲み物や食べ物は冷ましてから
④体を動かす
30分以上の運動を少なくとも週に二日は行う
⑤適正体重を維持する
男性はBMI値21-27、女性は21-25が望ましい。[BMI=体重kg÷(身長mx身長m)]

 

つまり健康的な生活を送ることで健康な体になり癌が予防される。そして癌が予防されることにより健康な生活が送れるわけだ。目的と手段の一致である。そして生活習慣の改善とは、言うは易し行うは難し、である。かなりの意思の力が要るだろう。

 

さて、自分が居た状況を振り返りつつ、今後の方針を立ててみよう。

①煙草に関して言えば、去年の春に酷い気管支炎にかかってから止めてしまった。もともとここ数年は日常的に喫煙していたわけでは無く、飲み会などイベントでの喫煙が主だったのだ。酒を飲みつつ友人や同僚とわいわいやりながら吸う煙草は大変美味しいのだが、この際すっぱりあきらめる事にしよう。

②ビールが好きで毎晩350mlの小瓶を飲んでいた時期もあった。だが、もともと酒に弱く飲酒量は少ないので節酒自体は問題無く達成できるだろう。

④3年前に犬を飼い始めてからは散歩でほぼ毎日30分は歩いているが、それ以前の数年間は明らかに運動不足だった。日本と同様にドイツの郊外も車社会である。どこに行くにも車で、歩く機会が少なかったし、そもそも私はスポーツを好むタイプでは無い。しかし体調が元に戻れば、散歩以外にもウォーキングなどで運動量を上げようと思う。

⑤癌になる前は理想体重より2-3kgオーバーしていたもののBMIは正常範囲。手術後は体重が減り、やせ気味になってしまったので、もう少し体重を上げる必要がありそうだ。体調が戻り運動量が増えれば、筋肉もつき体重はすぐにでも戻るだろう。

 

③の食生活に関しては長くなるので「癌の予防(2)」に書く。