蟹退治日記 (神経内分泌がん治療記)

ドイツでの神経内分泌がん治療の日々を通して見たこと聞いたこと考えたことを綴っていきます。

回復の月

10月も中旬に入ろうかという頃。

体調を医者に報告するために隣町の病院へ。前回の訪問からほぼ一週間後で、体重は微増と言ったところ。それでも体調は確実に良くなってきていた。

 

白血球数は正常値に戻りつつあった。下血は完全になくなったし、お尻の痛みもほぼ消えた。普通に座れるというのは、本当にありがたいことだ。家族との食事もゆっくりとれるようになった。短距離であれば、車の運転もできる。

 

医者曰く、放射線治療や抗がん剤というのは、治療を終えてからもじわじわと体に効いてくる。治療を終えてから手術の日まで一か月半もあるのは、その効果が最大になるのを待つためだと言う。だから体調はこれから更に良くなる。10月は回復の月になりそうだ。

 

残る問題は下痢だった。以前、便秘をして酷い痛みに悩まされた。おそらくは便が癌患部を圧迫したのだろう。それ以来、下痢でも便秘よりましだと考え、あえて下痢止めを飲まずに放っていたのだ。しかし、このままでは体重は増えないだろうし、日に何度もトイレに行くので肛門も擦りきれ、痔になりかけていた(欧州では肛門に優しいウォシュレットのようなトイレは無いのだ)それで医者からもらった下痢止めを服用すること決めた。

 

ほぼ同時期に、私は我が町の病院へと行った。隣町の病院での放射線抗がん剤治療が終わったので、私は再びこの病院の患者となる。今回の目的は手術の日程を確定するためだ。

 

久しぶりに会ったZ女医はとても忙しそうだった。この打ち合わせの直前まで執刀していたとの事だ。挨拶もそこそこに手術の日時を決めた。2-3週間は入院することになると言う。そのあともリハビリなどがあり、万事うまくいったとしても社会復帰は2月でしょうね、と言われた。7月末の癌宣告からたっぷり半年はかかるという計算だ。判ってはいたことだが、長い。ため息がでる。

 

万が一、手術の際に転移などが見つかれば、また治療、手術の繰り返しだ。私の場合それなりに進行しているので、再発の可能性も高い。稼ぎ手の私がこれ以上の長期にわたって働けなくなったら家族の生活はどうなるのだろう、と心配になる。

 

しかし、今そんな事を心配してもしょうがない。まずは手術をクリアすることだ。

大丈夫。体調は良くなりつつあるし、空には虹がかかっているではないか。

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