蟹退治日記 (神経内分泌がん治療記)

ドイツでの神経内分泌がん治療の日々を通して見たこと聞いたこと考えたことを綴っていきます。

放射線治療終了

10月初旬。ついに放射線治療最後の日を迎えた。

 

月曜から金曜まで毎日。6週間。車での往復、待ち時間、治療時間を合わせると、毎回2時間半ほどかかっていた。治療とは言え、そろそろうんざりしかけていた。しかし、今日で最後だ。

 

更衣室でズボンを脱ぐ。技師の女性たちに挨拶をする。放射線治療台にタオルを敷き、うつ伏せになる。そしてパンツを下げ半ケツをさらす。我ながら流麗な動作だ。全てにおいて淀みが無い。これまで同じことを30回も繰り返してきたのだ。

 

無事に放射線治療が終了し、技師たちに礼を言って去ろうとすると、J女医がやってきて調子はどうかと訊いてくる。変化は二つほどあった。一つは腸からの出血がほとんど無くなったこと。下痢は相変わらずなのだが、下血しなくなったのだ。患部の痛みも軽くなりつつある。放射線抗がん剤のどちらか知らないが、治療は確かに効いているようだ。

 

もう一つは体重が減ってしまったこと。病気にかかる前は63kgか64kgくらいあった体重が、57kg台まで減ってしまっていた。それだけ減れば見た目にも分かりそうなものだが、特に変わったようには見えなかった。特に、お腹がへこまないのが不思議だった。らくだのこぶには脂肪が蓄えられていて、緊急時にはそこから養分を摂るという。だから長い旅をしたらくだのこぶはしぼんでしまうそうだ。しかし私のお腹は全然しぼんだ様子が見られない。全くの役立たずではないか。けしからん。

 

ともかく、そういう話をしたら、J女医はこれ以上体重を下げてはならないと言い、とにかくカロリーの高いものを食えと言う。冗談めかして「ジャンクフードとか?」と訊いたら、真顔で「なんでもいいから、とにかく太れ」と言う答えがあった。

 

白血球数低下の件もあったので、再度血液検査をした。結果はしばらくしたら出るが今日は待つ必要は無い、来週また来いと言う。その時に体重の変化も確認したいとの事だ。そういうわけで、またこの隣町の病院に来る事になった。

 

それでも放射線治療は終わったのだ。妻と一緒に病院内のカフェに行きケーキを食べた。病院だからと言ってなめてはいけない。ここのケーキはなかなかに美味しいのだ。そのケーキには二つの意味があった。一つは放射線治療終了のお祝い。もう一つはカロリー摂取だ。体重増加計画は早くも始まっているのだ。