蟹退治日記 (神経内分泌がん治療記)

ドイツでの神経内分泌がん治療の日々を通して見たこと聞いたこと考えたことを綴っていきます。

告知の日

7月下旬の火曜日。大腸内視鏡検査の日。

 

検査前日と当日早朝(5時)に下剤1リットルづつ飲み、腸をからっぽにした。空腹と寝不足の有難くないコンボであったが、爽やかな晴天のおかげで気分はそう悪くなかった。ドイツの夏は素晴らしい。

 

妻に病院まで送ってもらい、検査室へと向かう。検査前に医師から検査のリスクに関して説明があり、書類に承諾のサインをする。検査用の服に着替えて、無防備なお尻をさらしつつ検査台に横になった。

 

大腸内視鏡検査は何度か経験がある。胃カメラよりはちょっとはマシかもしれないが、お世辞にも楽しい体験とは言えない。一度ある病院で検査した時は鎮痛剤を事前に飲んでいたのだが、これが見事に効かなかった。お尻に内視鏡を入れられては痛みでぎゃっと叫び、腸に空気を送り込まれてはあまりの辛さに堪忍してと悶える羽目になった。

 

だから、医者から痛み止めはいるかと訊かれた時に、盛大にやってくださいと即答した。注射を打ってもらったのだが、それは痛み止めではなくて麻酔で、私は検査が始まる前に意識を失った。そしてベッドの上で目が覚めると、すでに検査は終わっていた。ごつい看護師のおじさんにそう告げられたのだ。

 

知らぬ間に検査が終わっていたことの喜びをかみしめていると、看護師のおじさんが「迎えの方を呼んでください」と言うので、妻に電話をした。「検査結果はどうでした?」と訊くと、「迎えの方が来てから説明しましょう」と言う。

 

妻が到着するとすぐに医者が説明にやってきた。

「大腸に悪性の腫瘍が見つかりました」

つまりは癌という事だ。