蟹退治日記 (神経内分泌がん治療記)

ドイツでの神経内分泌がん治療の日々を通して見たこと聞いたこと考えたことを綴っていきます。

癌の予防(2)

癌の予防(1)の続き。今回は食生活に関して。

 

国立がん研究センターが発行している小冊子『科学的根拠に基づくがん予防』

に書いてある食生活の改善項目は下記の三つ。

  • 減塩する:胃癌リスクを下げる
  • 果物と野菜を多く食べる:食道癌、胃癌、肺癌リスクを下げる
  • 熱い飲み物や食べ物は冷ましてから:食道癌リスクを下げる

 

私は直腸癌になったので、そのあたりをもう少し詳しく知りたいと思い調べたら『食物、栄養、身体活動とがん予防:世界的展望(2007年版)』という資料が見つかった。世界がん研究基金/米国がん研究機構の研究成果を九大の廣畑氏が要約・日本語訳したもので、各種癌への食物・生活習慣の影響度をまとめたマトリックスがある。

 

それによると、直腸・大腸癌について「リスク増加が確定的」な食物は以下。

①肉類(牛、豚、羊など。鶏肉を除く)

②加工肉(塩、燻製、化学防腐剤などで、保存加工されたもの)

 

我が家では野菜好きの妻が主に料理をするので、私の食生活は肉食に偏っているわけでは無い。しかし、ハム、ソーセージなど加工肉の消費量は日本に居た時と比べて間違いなく増えただろう。ドイツの加工肉は美味しい上に種類も豊富なのだ。

 

同資料では肉食について、このように勧告している。

肉の摂取を週に500g以下とし、加工した肉は出来るだけ食べないようにする。

 

週に500gとは結構な量だ。今までだってそんなに食べていないので、あまり参考にならない。個人的方針として、今後はもっと野菜を食べる。牛肉や豚肉は月に1-2食とし、それ以外は鶏肉にする。(本来ならばもっと魚を食べたいところだが、私が住む地域では品揃えは薄いし値段も高い)

 

そして加工肉は避ける。だが...たまにはいいだろう。網の上でじゅうじゅう言う焼きソーセージ、それにカレーソースをかけたカリー・ヴルスト、齧るとプリっとした歯ごたえで応える茹でソーセージ。永遠の別れを告げるなんて無理な話だ。

 

ドイツで聞いたジョークに『100歳まで生きたい男』というのがある。

男「私は健康を追及して生きていますが、100歳まで生きられますでしょうか? 」

医者「そうですねえ。あなた、煙草を吸いますか?」

男「一本だって吸ったことはありません」

医者「お酒は?」

男「まさか!一滴たりとも飲みませんよ」

医者「では、セックスは?」

男「セックス?とんでもない!」

医者「うーん、あなたはどうして100歳まで生きたいんです?」

 

ここでの煙草や酒やセックスは「楽しみ」つまり「生きる喜び」の象徴だ。生きる喜びは人それぞれだろうが、私にとって「食」はその中でも重要なものの一つだ。だから私は摂生はしても好きな食べ物を完全に断つ事はないだろう。

 

癌にはなりたくない。だが、癌を恐れるあまりに生きる喜びを捨て去ってしまっては本末転倒ではないか。と、やや自己弁護的に私は考えるのである。