蟹退治日記 (神経内分泌がん治療記)

ドイツでの神経内分泌がん治療の日々を通して見たこと聞いたこと考えたことを綴っていきます。

トイレ日記

(注:タイトル通りシモの話。直腸を切った人、これから切る人に向けた参考情報です。)

 

直腸を切ってストーマ人工肛門)にして、それからしばらくしてストーマを閉鎖して、排便機能障害でトイレに何度も通うハメになって三ヵ月経つ。

 

トイレの回数が落ち着くまでには6か月から9か月はかかるから気長にね、と医者からは言われていたのだが、本当にちょっとずつしか良くならない。揺り戻しもあったりしてめげそうになる。でも記録をつけている事で、三か月前と比べたら間違いなく良くなっていることは判る。

 

これが約90日にわたるトイレ回数の記録。

青い棒が一日のトイレ回数。日によって変動が大きいので7日間の移動平均値をグラフに重ねてみた。それが赤い折れ線。

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ストーマ閉鎖直後の7日間のトイレ回数平均値は約15回。最近はそれが約7回にまで減ってきた。とは言え、それはあくまで平均値。5回の日もあれば、その次の日には15回に跳ね上がったりもする。一日に10回以上トイレに行くと、肛門が悲鳴を上げる。もちろんそれは比喩で悲鳴を上げるのは私だ。実際には呻くという方が正しい。温水洗浄便座(最近買った。TOTOはドイツでは売られてないので類似品)やウェットティッシュを使ってもこれは辛い。また排便時に腸の吻合部が痛むときもあり、便座の上で脂汗をかき頭を掻き毟ったりもする。そして、そんな苦しい日は少しずつ減りつつある。

 

グラフにもあるように、ストーマ閉鎖から一か月くらいまでは割と早いスピードで回数が減ったのだが、4月初旬(グラフの45日目あたり)に抗がん剤を始めてからトイレ回数がまた増えた。抗がん剤の副作用で体調がおかしくなったので、その影響だろう。それから再び回数は減ってきている。5月初旬の抗がん剤ではなぜか副作用が全く出なかった。

 

私の場合は食べ物とトイレ回数との相関関係はあまりなさそうだ。人によっては脂っこいものを食べると回数が増えるらしい。それである程度注意して食事の影響を見ているのだが、私の場合それが回数に結び付いているようには見えないのだ。逆に言えば変化がランダムなので、予測が出来ないという難しさもある。

 

直腸切除によりトイレ回数が増えるのは、便を貯めることが出来ず小出しになるからだ。また直腸が無い事で便意をうまく感じ取ることが出来なくなる。これは、と思ったら即トイレに駆け込まないと危ないくらいのタイミングが良くある。私は自宅で仕事をしており、トイレは常にすぐそこなので失禁を経験せずにすんでいるが、電車通勤・通学の人は大変だろう。私は失禁の恐怖のためにひきこもりがちになってしまった。それでも頑張って犬の散歩には出ているのだが、何度も冷や汗をかいた。それが、最近は散歩の距離も伸びつつある。ちょっとは余裕が出てきたようだ。

 

回復しても以前と全く同じにはなりませんよ、とも医者からは言われたが、一日に3-4回くらいのトイレ回数でおさまってくれれば、そして事前に便意をうまく感じ取ることができれば、以前に近い日常生活をおくることが出来るはずだ。また失禁の恐怖に苛まれず旅行だってできるようになるだろう。

一日も早くそんな日が来ますように。