蟹退治日記 (神経内分泌がん治療記)

ドイツでの神経内分泌がん治療の日々を通して見たこと聞いたこと考えたことを綴っていきます。

肝臓手術 その2

前回の続き

 

<術後2日目>

朝ご飯。

いつになく豪勢な感じがするのは、果物とゆで卵がついているから。

さて、食事が出来るのは有難いが、ものを食べれば、当然出るものもある。小の方はカテーテルがつながっているから良いが、問題は大の方だ。ビッグなビジネスを遂行するにしても、手術直後で、かつ体にはいろんな管がついているので、トイレへの移動はままならない。

看護婦さんにどうすればよいか尋ねたところ、おまる付きの椅子を準備するとの事だった。しかし、相部屋の人もいるのに、おまるでするのは心理的ハードルが高すぎる。困ったなあ、と思っていたら、その日からしばらく便秘になってしまった。おまるを使いたくないという私の気持ちが腸に伝わったのだろうか。病み上がりなのだから、気にせずにおまるくらいバンバン使えばよいのだろうが、そうできないのが私の器の小さいところである。

 

<術後3日目>

朝に看護婦さんがやってきて、尿道カテーテルを抜くと言う。

管が一つでも減るのはありがたいのだが、かなりの痛みを伴うという話を聞いたことがあったので、恐ろしくもあった。看護婦さんは「深呼吸してください」と、カテーテルを手に取り、私は痛みに備えてこぶしを握りしめた。シュッ、とカテーテルは一気に引き抜かれた。

 

痛っ。

いや...全然痛くない!

 

あれは円熟の域に達した技能なのだろうか。無痛で済んだのが嬉しかった私は、満面の笑みで看護婦さんに礼を言ったのだが、「カテーテルを抜いたくらいで大げさな」と言わんばかりに看護婦さんはクールに病室を去って行った。

少し身軽になったので、点滴を外してもらい、入院棟の廊下を散歩した。去年の大腸手術の時は、散歩できるようになるまでには術後から10日もかかった。それと比較すると今回の手術は軽いものだ。

 

<術後4日目>

尿道カテーテルに続き、ドレナージも抜くことになった。ずりゅっ、という内臓とチューブが擦れる感触と同時に痛みが走るが、一瞬の事であり、大したことは無い。その後に、まじまじと手術跡を見る。22針の医療用ホチキスで止められおり、まだ生々しい。私のお腹はすでに手術跡でいっぱいだ。これ以上は勘弁願いたい。

 

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この日の夜には背中に刺さっていた硬膜外麻酔カテーテルが抜けてしまった。麻酔医がやってきたが、予定を繰り上げてそのまま麻酔を停止しようという事になった。そして結果的にそれで問題は無かった。

 

尿道カテーテルもドレナージも麻酔も取れた。残るは首につながる点滴だけだ。凄い速さで身軽になっていく。

 

 続く