蟹退治日記 (神経内分泌がん治療記)

ドイツでの神経内分泌がん治療の日々を通して見たこと聞いたこと考えたことを綴っていきます。

肝臓手術 その3

前回の続き

 

<術後5日目>

食事に果物がつくだけで、豊かな気持ちになる。この日は朝昼晩と苺が出た。

食欲はだいぶ回復して、それなりに食べているのだが、出るものが出ない。管もだいぶとれて、一人でトイレに立てるようになったのに、全くの無風状態だ。下剤を貰ったのだが効果なし。ついに浣腸が起用され、問題の強制的な解決が成された。めでたし。

それから最後の管、首につながっていた点滴が外され、すっかり自由になった。身も心も軽くなった私は病院の玄関口まで散歩に出た。少し肌寒いが、陽光に恵まれた、すばらしい秋晴れの日だった。

 

<術後6日目>

体をねじったり、あくび、咳、げっぷなどをすると手術跡に痛みが走る。逆に言えば、痛いのはその時くらいである。痛み止めもいらないくらいに回復している。

朝の回診時に、そろそろ退院してもよろしいかと医者に訊いてみた。医者も同じように考えていたようだ。あっさりとOKが出て、私は大いに喜んだ。

体調が良くなれば入院生活は恐ろしく退屈なものになる。散歩できる範囲は極めて狭いし、テレビも見るべきものは無い。どうせ横になっているだけならば、くつろげる家の方が良いに決まってる。退屈の質が違うのだ。家での退屈は苦痛では無い。

抜糸のために数日後にはまた病院に来ることになる。世話になった看護婦さん達に礼を言い、またねと挨拶した。

 

これで私の入院生活は終わった。

しばらくは手術や入院とは無縁でいたいものだ。