蟹退治日記 (神経内分泌がん治療記)

ドイツでの神経内分泌がん治療の日々を通して見たこと聞いたこと考えたことを綴っていきます。

第二章の終わりとウサギの死

先ほど無事に肝臓の手術を終えて退院してきた。

 

直腸から肝臓に転移した神経内分泌がんの切除手術だ。22針の開腹手術であったが、回復が早かったため、術後6日目にして退院となった。

 

去年の11月に直腸と肝臓のがんを切除したにも関わらず、今年の3月には肝臓に癌が見つかり、治療記の第二章を始めるはめになったのだが、その癌が無くなった今、第二章もこれにてお終いというわけだ。良き哉。

 

二度あることは三度あるかもしれない。高い再発の確率を考えると、全てが終わったと手放しで喜べるわけではない。それでも、とても嬉しい。今回受けた抗がん剤の成功、術後の快癒という経験を通して、もし再発しても、まためげずにやっていけるだろうという妙な自信はついた。

 

そんな嬉しい日に、ウチで飼っていたウサギが死んでしまった。先週、私の入院中にウサギの具合が悪くなり、心配した妻が獣医に診せたところ、病気でも何でもなく、寿命を迎えたのだと説明があったそうだ。7歳を超えた老ウサギなのだ。

 

退院を知らせるために病院から家に電話したら、子供達はわんわん泣いていた。ウサギは今朝、ついに目を覚まさなかったのだ。悲しいに違いないが、子供達は弱っていくウサギに別れを告げる時間を持てた事で、その死を受け入れることも出来たと思う。そんな話を妻としていたわけだが、それこそ巷で良く言われる「がんで死ぬ」事の明るい面と共通するなあと考えていた。

 

死までにそれなりに時間があるので、自身も周りも身辺整理や心の準備ができる。死への軟着陸だ。この考え方には一理あると思う。事故死だとそうは行かない。

 

癌で死ぬのもそう悪くないかもしれないな、なんてふと考えてしまったが、すぐに正気にかえった。そもそもウチのウサギは大往生したのである。まずは私もそれを目指すことにしよう。

 

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